がんが一定のところまで進行すると、特殊な物質が血液中に現れることがあります。これらは画像検査などの他の検査の結果と組み合わせて判断することにより、がん診断の補助的役割を果たします。抗P53抗体(乳がん、大腸がん、食道がん等の比較的早期のがん)、CYFRA(肺がん、卵巣がん、乳がん等)、CEA(大腸がん、胃がん、肺がん、甲状腺髄様がん等)、CA19-9(膵臓がん、肝管がん、胆嚢がん等)、α-FP(肝細胞がん等)、男性用としてPSA(前立腺がん等)、女性用としてCA125(卵巣がん、子宮がん等)。
正常範囲
CEA | 5.0 ng/ml以下 |
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α-FP(α-フェトプロテイン) | 10.0 ng/ml以下 |
CA19-9 | 37.0 U/ml以下 |
CA-125 | 35.0 U/ml以下 |
PSA | 4.0 ng/ml以下 |
抗P53抗体 | 1.30 U/ml以下 |
CYFRA | 3.5 ng/ml以下 |
大腸がん、胃がん、肺がん、甲状腺髄様がんで陽性率が高く、CEA高値の時はこれらのがんに関する画像検査などにより、がんの有無を調べる必要があります。がんのスクリーニングには向きません。
肝細胞がんの早期診断のスクリーニングとして役立ちます。
肝細胞がんでは効率に高値を示しますが、慢性肝炎、肝硬変でも上昇します。このため経時的変化で上昇を確認するか、AFP-L 3%の測定をすることが鑑別に有効になります。
膵臓がん、肝管がん、胆嚢がんでは、80~90%の陽性率を示し、腫瘍マーカーとして評価は高いのですが、スクリーニングとしての価値は低いと考えられています。
悪性卵巣腫瘍の特異的な腫瘍マーカーです。その他に子宮体がん、子宮頸部腺がんでも上昇します。
前立腺がんのみならず前立腺肥大症、前立腺炎でも上昇します。PSA値4.1~10.0 ng/ml(グレーゾーン)では、前立腺がんと肥大症との鑑別が必要になります。
乳がん、大腸がん、食道がんの比較的早期の段階で高値を示す特徴があります。この抗体は、他の腫瘍マーカーと陽性率で重なりが少なく、組み合わせによる測定が有効です。
肺がんのなかでも扁平上皮がんでは早期から高値を示す特徴があります。肺腺がん、肺小細胞がん、卵巣がん、乳がん等でも高値を示します。